「仲良し夫婦」でいるための工夫と取り組みを、世間ではさまざま紹介しています。
わたしは、特に産後がたいへんなことでして、もちろんあれこれと試しました。
しかしあるとき、やるのはいいですが、とても大切なことを欠けていたと気がつきます。
自分のがんばりと成長を、すっかり見落としていたのです。
努力の結果を、相手にばかり求めていました。
いい人間関係でいるために自分にできることと、相手にゆだねて一歩引いたほうが良いことがあります。
夫婦仲良しでいるためにも、そのためにがんばった日々をお粗末にしないためにも大切なことをまとめました。

|この記事のまとめ|
・夫婦仲良しという「結果」よりも、自分の努力と成長に目を向けよう。
・そのためには、自分にできることと相手に任せることの線引きが大切。
自分にできる努力

夫婦仲よくいられるように、どのようなことができるでしょうか。
まずは、自分にできる努力から。
以下にあるのは、相手を一方的に攻めないためにも大切なことです。
無理をしない
まず、疲れをとります。
睡眠や気分転換、充分な栄養、適度な運動で心とからだの疲れをとることはできていますか?
また、疲労が限界を迎えるまえにひと息つくための手段を考えておくこともお忘れなく。
協力してくれるひとに、お願いしたいことを具体的に伝えたり、活用できるサービスを探したり、方法はあります。
心とからだがいっぱいいっぱいに使われた状態では、他人へも自分へもなかなか優しくなれません。
どうにもならないと嘆きたくなることもありますが、それでもまずは疲れをとり、余裕がもてるようになるためにできることをしてみます。
「腹が減っては戦はできぬ」を借りると、「余裕がなくては優しくはなれぬ」だと思うからです。

相手の人生を尊重する
相手とは、育った環境や価値観、性格も違います。
おなじ時間を過ごしていても、感じることや考えること、時間の使い方も違うでしょう。
そのひとのペースがある、ということです。
自分を尊重してほしいと思うこととおなじように、相手もそう思っているはずです。
違う人格者であることを、尊重する心がけをします。
そうすることで、相手と程よい距離ができます。
いたずらに傷つけあわないためにも、必要なものではないでしょうか。
自分の成長に目を向ける
自分の努力と成長を素直に受け入れることができると、前向きになります。
前向きなほうが気持ちも軽やかでいられますし、そのような朗らかな空気であれば、周りのひとも穏やかでいられるのではないでしょうか。
夫婦仲の「ギクシャク」にも、きっと効きます。

“問題” の理由探し
関係がこじれている、強く当たってしまう、嫌いだと感じる。
これらの原因はどこからきたのか、理由を探します。
相手に原因を作ってしまうまえに、自分の気持ちの元をたどるということです。
たとえば、以下のようなことがあります。
- 家計が苦しい。
- 家事がうまく回っていない。
- ひとりの時間がほしいのに、つくれない。
- 買いたいのに、我慢していることが増えた。
- 片づかない。
- 悩みを聞いてほしいのに……。
- 頼りにくい。
理由が見つかりましたら、解決のためにできることを考えて、実践します。
わかってはいたけれど忙しくて手をつけなかったとか、後回しにしていたということが積み重なり、やがて負担になり、問題を起こしてしまうことはよくあります。
話し合いの扉を開く
相手を知るためにも、自分の気持ちを伝えるためにも、話し合いは大切です。
夫婦は、キリスト教徒とイスラム教徒くらい違う思想をもった人間の結合体だと思います。
夫婦会議は、与党と野党による国会のようなものです。
分かり合えないこともありますし、解決にたどり着けないこともあります。
しかし、それが当然ではないだろうかと思うのです。
むしろ、そのほうが健全かもしれません。
なぜなら、視野が広がるからです。
そのくらいの気持ちで話し合いをくりかえすうちに、お互いにとっての「いい塩梅」が見つかるのではないでしょうか。
もしそうならなくても、このような過程が無意味であるということにはなりません。
建設的な話し合いができるということは、どの人間関係においても、重宝するからです。
相手にゆだねること

相手にゆだねることは、自分の努力と成長の過程を見落とさないために、また見逃さない、否定しないためにも大切です。
このことについて、アドラー心理学では「なるほどな」と思うことを言っています。
相手がどうなるかは相手の課題
アドラー心理学に、「課題の分離」という言葉があります。
その真意は、こうです。
われわれは「他者の期待を満たすために生きているのではない」のです。
嫌われる勇気 P.135、136
そして、覚えておいてください。
もしもあなたが「他者の期待を満たすために生きているのではない」のだとしたら、他者もまた「あなたの期待を満たすために生きているのではない」のです。
「自分の信じる最善の道を選ぶこと」
嫌われる勇気 P.147
その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは、他者の課題であって、あなたにはどうもできない話です。
上の言葉を参考にすると、わかることがあります。
それは、自分に「変えられるもの」と、「変えられない」ものがあるということです。
自分自身でなんとかできることに目を向け、そのときできることを一生懸命できていたら、それでいいのだと思います。
相手がどのようになっていくのかは、そっと見守るようにします。
さいごに
アドラーは、「“愛の課題” は人生でもっとも難しい」という言葉を残しています。
その “愛の課題” には、夫婦の関係が含まれます。
人類が長きにわたり悩み、答えを探し求めていることなのだと感じずにはいられません。
夫婦仲良しでいるために自分にできることと相手に任せることの加減を上手にしながら、そのなかに見つけた成長を大切に。
ほかでもない自分が、自分自身のいちばんの味方でいられたら、大切に思う人のこともそのように思えるのではないでしょうか。