「国勢調査員は大変そう」という、悲観的な印象を持っていました。
しかし、在宅でのライター業に携わるうちに、国勢調査の結果を元にしたデータが数多くあることを知ったのです。
すると、こんなにも重要なデータを収集する調査員の実態が気になりはじめました。
ちょうど、住んでいる地域の状況を知りたいと思っていた矢先に「国勢調査2025」——。
社会の輪に入っていく良い機会だと意を決し、応募しました。
その経験をもとに、専業主婦にとって「国勢調査員」という仕事をすることにはどのようなメリットやデメリットがあるのかをまとめています。

この記事を読むと、自分自身の「やってみたい」という気持ちを前向きに育むことができます。
目次
国勢調査とは

国勢調査は、日本の人口と世帯の実態を明らかにすることを目的としています。
この、調査の目的は、統計局が国民向けに配布している資料でも説明されています。
国勢調査は、我が国の人口・世帯の実態を明らかにすることを目的として行われる国の最も重要な統計調査です。
総務省統計局配布資料「なるほど国勢調査」より
大正9年(1920年)に、第1回目の調査が行われました。
戦時下と戦後の例外はあったものの、令和7年(2025年)まで、5年に一度の周期で105年(22回)続いています。
調査の対象は、日本に住むすべての人と世帯(外国人を含む)です。
また、「国勢」の意味は「国のいきおい」ではありません。
明治29年の「国勢調査ニ関スル建議」のなかで、「全国ノ情勢」と明記されています。
結果はなにに使われるのか
調査の結果は、国の行政機関や地方公共団体、独立行政法人はもちろん、企業や学術団体などで日本の社会や暮らしを支えるための情報基盤として活用されています。
たとえば、以下のようなものです。
調査結果はこのようなところに活用されている
- 衆議院小選挙区の決定
- 市や指定都市、中核市の要件
- 地方交付税の配分
- 少子高齢対策
- 防災対策
- 地域活性化
- 生活環境の整備
- コンビニの出店計画 など
また、社会の実態を明らかにすることにも役立っています。
国勢調査の結果から見えてくる社会の実態
- 65歳以上人口の割合が上昇
- 子どもの数が減少
- 変わりゆく家族構成
- 未婚割合の推移
- 日本に住む外国人の数
- 産業別就業者数の推移
- 都道府県別の比較や推移(人口、生産年齢人口、子どもの割合など)
調査結果がなにに活用されているのかを知ることは、私たちが適切な行政支援を受けたり、日常生活をより良いものにするための施策を打ったりするためにも大切です。
国勢調査員になるためには

国勢調査員になるための条件は、5つあります。
① 責任をもって調査の事務を遂行できる者であって、原則として20歳以上の者であること。
総務省統計局HP「国勢調査員には、どのような人がどのような方法でえらばれるのですか?」より
② 秘密の保護に関し、信頼のおける者であること。
③ 税務・警察に直接関係のない者であること。
④ 選挙に直接関係のない者であること。
⑤ 暴力団員その他の反社会的勢力に該当しない者であること。
上記の基準と照らし、選考されると、国勢調査期間中は非常勤の国家公務員として調査にあたることになります。
応募は、住んでいる市区町村の統計担当窓口(多くは役場にある)、あるいはウェブサイトに掲載されている募集ページからするのが一般的です。
なかには、町内会や自治会からの推薦などもあります。
地域によって選考方法が違うこともあるようです。
実際に調査員をしている人たち
実際に調査員として参加してみると、次のような人たちが調査をしていることがわかりました。
調査員として活動している人たち
- 地域の調査活動に参加経験のある人
- 仕事をリタイアした人
- 専業主婦
- 地区の推薦を受けた人 など
国勢調査員の仕事内容

国勢調査員の仕事は、以下のようなものです。
現場での細かい動きも含めて、まとめてみました。
調査員の仕事内容
- 国勢調査員説明会への参加
- 担当する地域を巡回し、居住状況の確認
- 居住状況を、配布された地図にまとめていく
- 一旦役場に報告し、次の支持を仰ぐ
- 各世帯に調査関係書類を配布し、説明および回答を依頼する
- 回答期日が迫っていることをお知らせするチラシの配布
- 回答の回収を希望した世帯へ訪問し、回答用紙を受け取る
- 一定期間後に役場から届く、ネット回答や郵送回答状況を確認
- 回答していない世帯への再訪問
- 再訪問をしても回収できない世帯へ回答依頼書を渡し、近隣住民や区長さんなどに聞き取り調査を実施
- 回収した調査書とそのほかの調査関係書類をまとめ、役場に提出
- 報酬の受け取り
大まかな仕事内容は、総務省統計局のHPにも記載されています。
国勢調査員の報酬

調査員の報酬額は、自治体によって違うようです。
また、調査区の数、世帯数も報酬額に影響します。
守谷市では、1調査区約4万円(参考:守谷市「令和7年国勢調査調査員の募集について」)。
久留米市では、1調査区(約50世帯)を担当する場合、4万円程度と記載されています(参考:久留米市「令和7年国勢調査調査員を募集しています」)。

私の経験ではありますが、調査員の申し込みをしたのち役場からメールが届き、担当調査区の数を相談されました。
調査が始まるまえに、調査区の数はわかりましたが、世帯数は「居住状況の確認」をしなければわかりません。
そのうえ、「居住状況の確認」は外から見て状況判断をしているため、実際に配布し始めるとさまざまな事情から世帯数が変わるということも——。
空き家だと思ったところに人が住んでいたり、1世帯だと思ったところが2世帯同居だったりするのです。
実際に受け取る正確な報酬額を事前に知ることは、なかなかむずかしいでしょう。
専業主婦が国勢調査員に取り組むメリット

専業主婦の私が、社会復帰のために国勢調査員をしたことで感じたメリットは5つあります。
5つのメリット
- 採用までのハードルが低いため、挑戦しやすい
- 人や社会と関わる感覚を取り戻すことができる
- 仕事をして収入が得られるという達成感を味わうことができる
- 働くことへの自信がつく
- ルールや期限のなかで仕事をする感覚を、取り戻すことができる
専業主婦が国勢調査員に取り組むデメリット

社会復帰のために専業主婦が国勢調査員をするデメリットは、2つです。
2つのデメリット
- 5年に一度のため、チャンスが限られている
- 危険や不安を感じるような訪問先がある
デメリットを解消するために
デメリットを解消するためにできることは、なにがあるでしょうか。
まず、国勢調査員は全国的に不足しているのが現状です。
調査員募集の期日を過ぎていても、気になるときはぜひ窓口に問い合わせを。
きっと、なにかしら力になることができるでしょう。
また、地域社会に関わりを作る方法は、国勢調査以外にも、地域で定期的に実施されている調査やボランティア活動などさまざまあります。
報酬の有無に違いはありますが、人と関わるきっかけとなり、自分自身の役割を見出すことができるのではないでしょうか。
国勢調査の際、訪問先に不安があるときには、「国勢調査員の同行者申請」をすることで同行者に調査活動のサポートをしてもらうことができるようになります。
ひとりではできないと感じたときに、助け合える制度があるのは安心です。
挑戦したいと思ったならば、動いてみるに限る
家庭中心の生活から、社会に一歩足を踏み入れるきっかけをつくりたいという想いもあり、国勢調査員に挑戦しました。
すると、どんなにAI技術が発達しても、いちばん大切なことには人の手をかける必要があるのだということを体感しました。
やりがいのある仕事に取り組んだ経験は、仕事復帰や社会復帰への大きな自信になっています。
挑戦してみようかなと思うときには、ぜひ応募してみてください。
行動して得たことは、自分自身を作るすてきな糧になります。
家庭と仕事の両立に悩む方には、こちらの記事もおすすめです。
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